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日本語でビジネス会話を上達させる方法とは?

2021年4月30日 公開

日本語でビジネス会話を上達させる方法とは?

入社してきた外国人は日本語レベルがN2以上と聞いていたけれど、仕事に必要な会話が全然できていなくて困ってしまったという経験はないでしょうか。

一般的に日本語学校などで学ぶ日本語は日常会話を基本とした語彙や表現を多く使用しています。そのためビジネスで使用する日本語はアルバイト先や先生など目上の人と接しない限り、声に出して使う機会は少ないでしょう。

ここではビジネス会話を上達させる方法についていくつか事例とともに紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

日本語の基礎力をアップさせる

よくある事例として、日本語能力試験(通称JLPT)でN1やN2を取得し知識はあるのにも関わらず、会話には生かせていないケースです。特に中国やベトナムなどアジア圏の学習者に多く見られ、同じ文法表現のみ多用し、中上級の文法表現が生かせていないことが挙げられます。

例えば「道が混んでいるかもしれないので、明日早く出発することになりました」と言いたい時、「道が混んでいます。明日分かりません。ですから早い時間出発します。」と話されるとどんな印象を受けますか。日本人である私たちから見ると、会話能力が低いと感じる方が大半でしょう。

また当スクールの受講生は以下の語彙が聞き取れず、意味も理解できていないため日本人社員からするとうまくコミュニケーションが取れないなと感じる場面があったと報告を受けています。

・ベトナム人(N2取得・自動車関連部品の製造業の現場勤務)
品質・管理・部品・取引先・顧客・プロセス・生産

・中国人、ベトナム人(ともにN2取得・ITエンジニア/SE)
フレームワーク、バージョンアップ、アプリケーション、遅延、障害、実施、検証、ツール

これらは母語の影響があり中国・ベトナム人共通の問題として小さい「ツ」が抜けること、長音が短い「ツールではなくツルと発音」、カタカナに苦手意識があることなどが要因として考えられます。

フレームワークやバージョンアップといった英語由来の語彙の聞き取りができないことや、受講生側の発音が日本人社員が思う発音と違う場合は、意味を理解するまで時間もかかりますし会話がスムーズに進まないとストレスもたまりやすくなります。

この場合、実際の会話能力はどの程度なのか事前に把握し、会話の中でビジネスで必要な語彙や文法表現を増やす必要があります。方法としては日本語テキストを何度も繰り返し読む→音声を録音する→日本人に確認してもらうやり方などがあるので一度試して見てはいかがでしょうか。

敬語の苦手意識をなくす

敬語は日本語特有の言語表現ですが、学習者が苦手とする分野でもあります。その理由として聞き手や話し手、話題の人物によって尊敬語・謙譲語などの使い分けが挙げられます。

例えば過去のケースでは「社長は英語をお話になれますか」やクライアントに「コーヒーをお飲みになりたいですか」と聞いてしまった学習者がいます。社長に対して能力があるのか、クライアントにコーヒーを飲みたいのか願望を直接尋ねており、尊敬語は使用していますが表現としては適切ではありません。

立てるべき人物の能力や意思、願望など外から見えない心の中のことに関しては、敬語では直接尋ねることは避けた方が望ましいでしょう。このように使い方によっては失礼な言い方になってしまうこともあるため、日本語学習者の中には「自信がない・不安になる」と言う声も多く聞きます。

また学習者の中には敬語表現を忘れていることも多いので召し上がる・おっしゃるなど敬語の表現と場面設定に応じた反復練習を行うことが効果的です。

現在の日本語会話力を知り、目標を設定することが日本語会話力アップのポイントです

どのような学習方法、教材を使えば効果的に会話力が向上するのか?と、迷うことも多いと思いますが、そのためにはまず最初に、現在の日本語会話レベルと目標とする会話レベルを明確に設定することが重要です。そして、適切な学習プラン、教材を使って学習することが、会話力アップのためのポイントになります。しかし、現在の会話レベルを正確に把握したり、目標とする会話レベルの設定を具体的にすることは困難な場合もありますので、以下にて目標やレベル設定の際に参考にできる日本語会話力の指標をご紹介します。

10段階会話レベル評価(独自)

JLPT(日本語能力試験)では、会話力は測定できませんので、当スクールが過去1,000名程度の受講生のレベルをベースに、会話力に特化した10段階評価のレベルを設定しました。独自基準として、受講生の現状の会話力レベルチェック、目標設定、受講生がどの程度レベルアップをしたか客観的に数値評価をするために活用可能です。現在の日本語レベルの把握や、どのレベルを目指せばいいのか?という点において、ご参考にいただけると思います。

私たちは、OPIレベル基準をもとに、10段階で会話力を評価します。
※OPI(oral proficiensy interview)とは、口頭運用能力を計測するために開発された、1対1のインタビュー形式の試験で、会話力を10段階に分けて評価します。

1,000名以上の受講生実績データをもとにした、
会話レベルビジネス現場でできることについて

 

JLPTレベル

会話レベル

ビジネス現場でできること

初級

N5レベル相当
(日常生活を送る上で最低限必要とされるレベル)

1

「こんにちは」「私は○○人です」「名前は○○です」などいくつかの決まったフレーズを使うことができる。

2

「仕事は~時からです」「仕事は~曜日です」など、日課について簡単に言うことができる。

3

「休みはいつですか」「日曜日です」など、日常的なことについては、短い受け答えができる。

中級

N4~N3レベル相当
(社内でなんとか日本人社員と会話が成立する~比較的スムーズに会話が成立するレベル)

4

聞き返しは多いが、日本人社員がゆっくり話してあげれば、なんとかコミュニケーションは成立するレベル。
「何の仕事をしていますか」「職場はどこですか」のようなシンプルな質問には短い文や単語で答えることができる。

5

日本人社員がゆっくり話せば、コミュニケーションは成立するレベル。会議中の会話内容の理解度は30~40%程度。
自分の業務内容について簡単に説明できる。相手に質問をするなどして、ある程度会話を続けることができる。

6

社内での日本人社員との会話は比較的スムーズにできるレベル。会議中の会話内容の理解度は60%~70%程度。
自分の業務内容について詳細に説明できる。具体的な例を挙げながらわかりやすく説明することができる。

上級

N2~N1レベル相当
(社内で日本人社員とスムーズに会話が成立する~顧客との打合せも1人で十分にできるレベル)

7

社内での日本人社員との会話は問題なくスムーズにできるレベル。会議中の会話内容の理解度は80%~。
よく知っている話題については、充分に話すことができるので、会話も弾む。自分の考えを論理的に伝え、相手を説得することができる。

8

たいていの場合において言葉に詰まることなく、わかりやすく説明することができる。社会的、専門的な話題にもついていける。敬語も十分に使えるので、顧客とのやり取りを1人で任せられるレベル。

超級

かなりネイティブに近い~
ほぼネイティブレベル

9

かなりネイティブに近いですが、ことわざなど独特な言い回しは理解はできても使うことは難しい場合がある。

10

ビジネス経験のある日本人と比べても遜色が無い。

(※1000名のデータに基づく)

次に当スクールでレッスンを行なっている生徒さんの実際の会話レベルの動画について紹介します。御社の場合は、どのレベルを目指せばいいか実際の音声を聞きながらご参考にしてみてください。

会話レベル4、建設現場の技術者(ベトナム人)の場合

様々な質問に文単位で話すことや質問に答えることができます。しかし詳しく答えようとしても限られた身近な話題以外は、話を完結させることができずに途中で切れてしまいます。また発音では母語の影響が出ています。

会話レベル6、ITシステム開発の技術者(中国人)の場合

質問に対して様々な状況を理解して、具体的な例を挙げながら分かりやすく答えることができます。全体的にまとまりのある文章を話しますが、内容が複雑になったり、文章を長くしたりすると流暢さが落ちてしまいます。

会話レベル8、ITシステム開発の技術者(中国人)の場合

自分の考えやトピックの背景を詳細に話し、一歩進んだ発想で話を進めることができ、発話量も安定しています。上級レベルの内容を話したり表現を使ったりすることができています。

日本語会話力を上達させるためには学習時間とアウトプット量の確保が重要です

日本語力の上達は、「学習時間」と「インプットとアウトプット」のサイクルをどのくらい回せるかにかかっています。どのくらいの学習をすれば、どのくらい会話力が成長するのか?は非常に気になるテーマです。もちろん国籍、母国語の影響、職場環境といった個人差要因による違いはありますが、おおよその平均値データもございます。

学習時間と日本語レベル向上の関係については、こちらのコラムをご参考ください。

どのくらいの学習期間で、どれくらい日本語が伸びるのか?

研修・自学を通して、業務に直結した内容を学び現場で「書く・話す」機会を増やすことで、学びを体得できます。

つまり外国人社員の日本語力を短期間で向上させるには、「現場に近い研修内容」と「現場でのアウトプット機会」が重要となってきます。研修会社を選ぶときには、「実践的なカリキュラムか」を確認して選ぶとよいでしょう。

また企業様で日本語アウトプット機会を用意してあげると研修との相乗効果がでるので、学習スピードが向上します。

下記ページでは、実際の研修事例をもとに、教材選定、レベルチェックと目標設定、学習プラン、受講後の成果についてご紹介しておりますので、ご参考ください。

外国人社員向けの日本語研修を効果的に進める目標設定のポイント 製造業事例と学習プランのご紹介

外国人社員が日本語の報告書等の作成が支障なくできるには?

IT企業で働く中国出身エンジニアのビジネス日本語レッスン

会話レベルは学習者が持つレベルと企業様が求める目標レベルを元に期間などを算出するのですが、企業側としてはあらかじめ期間や習熟度などの効果が明確である方が理解がしやすいでしょう。

まとめ

外国人を採用している企業はコミュニケーション面に課題を持っていることが多く、ビジネスで使用する日本語は日常会話と違って仕事特有の表現やその業界ならではの語彙、上司やクライアントとの対応も出てきます。

日本語学習者が持っている表現方法や語彙力などによって仕事で活躍できる範囲もおのずと変わってくるため、企業側としては力を入れて取り組みたい分野でもあるでしょう。

外国人社員のビジネス日本語力を向上させるには、体系的なインプットとアウトプットが重要です。実践力重視の研修と業務で日本語を使う機会が、語学学習のPDCAを高速で回し、現場で使えるビジネス日本語力の向上につながるのです。

ここでは実際の教育事例や外国人社員採用についてお役立ちコラムを定期的に配信します。

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