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どのくらいの学習期間で、どれくらい日本語が伸びるのか?
2021年5月1日 公開
どのくらいの学習期間でどれくらい日本語が伸びるかは、学習者のレベルにあったカリキュラムを組むことやどの程度学習時間に費やせるかなどよって変わってきます。
当スクールにお問い合わせ頂く総務や人事担当の方から話を聞くと「外国人社員がうまくコミュニケーションが取れていないため、業務がスムーズに果たせていない」という現場の声を受けています。
このように初めてオンラインで受講を検討される方、他スクールで結果が出せなかったため再度当スクールで検討される企業様など様々いらっしゃいます。
そもそも求めている目標レベルに達するまで「どのくらいの学習期間や学習量が必要なのか」疑問を持つ担当者の方もいるのではないでしょうか。
多くのケースでは学習者のレベルに合った学習内容が計画されていない、学習期間に対する学習量が不足していることが原因として考えられます。
それで本日は「確実に目標とするレベルまで到達させるために、どのくらい学習期間や量をこなすことによってどのくらい伸びるか」について具体的な数値と合わせてご紹介します。
(別のコラムで事前の目標設定やアプローチ、学習効果を客観的に把握できるようにしておくことについてご紹介しましたが、その内容はこちらからご覧ください)
レベルを測るにはどのような方法がある?
一般的に日本語のレベルを測るものとしては日本語能力試験(JLPT)、BJTビジネス日本語能力テストなどがあることはご存知でしょうか。
日本語能力試験(JLPT)は日本語を母国語としない方を対象とした「日本語を能力を測定し、認定すること」を目的とした試験であり、日本のみならず世界で実施しています。レベルを5段階(N1~N5)とし、言語知識(文字・語彙・文法)読解、聴解の内容が出題されます。
BJTビジネス日本語能力テストはビジネスで使用する言葉遣いや行動などコミュニケーション能力を測る試験ですが、どちらも話すスキルである「会話」以外を評価対象としています。
会話以外を評価対象としているということはN1やN2を取得している外国人社員でも、会話がうまく成立しないことが考えられます。
当スクールでは会話力を正確に測るため、独自に「10段階に分けた会話レベル」を指標として受講開始前、中間、最終レベルチェックを行いますので、受講後前後で効果を把握することができます。
会話レベル |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
0→1 |
1→2 |
2→3 |
3→4 |
4→5 |
5→6 |
6→7 |
7→8 |
8→9 |
9→10 |
|
必要レッスン時間 |
36H |
50~75H |
50~75H |
50~75H |
50~75H |
50~75H |
50~75H |
75~100H |
75~100H |
N/A |
必要期間 |
6~12ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
N/A |
この10段階の指標を元にした会話チェックは初級レベルと中級レベルでは50~75時間、上級レベルでは75~100時間(6ヶ月程度)となりますが、研修実施前にレベル診断を行い、企業様が求めるレベルを元に必要となる期間とコストを算出します。
目標設定は企業によって異なりますが、最終目標として会話レベル7、8(JLPTN2~レベル相当)を目標とするケースが多いです。
またJLPの場合はN3からN2、N2からN1へレベルを到達させたい場合は少人数クラスで75~100時間(6ヶ月程度)を目安として研修を実施します。
JLPTレベル |
N5 |
N4 |
N3 |
N2 |
N1 |
0→N5 |
N5→N4 |
N4→N3 |
N3→N2 |
N2→N1 |
|
必要レッスン時間 |
75H |
75H |
75H |
75~100H |
75~100H |
必要期間 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
6ヶ月 |
一般的に日本語学校のようなクラス編成でN3からN2へ対策を行う場合は少なくとも200時間、少人数だと150時間程度の時間数がカリキュラムに組み込まれています。日本語学校に比べて学習時間が短いと感じる方もいるのではないでしょうか。
当スクールはレッスン1時間あたり2時間分に値する宿題の提出をお願いしておりますので、日本語学校よりも短い時間で効果を出すことが可能です。
日本語研修の目標とレベル設定に役立つ日本語力の指標
目標設定を具体的にすることは困難な場合もあります。そこで、目標やレベル設定の際に参考にできる日本語力の指標を以下に紹介します。
①当スクールの独自10段階会話レベル評価
JLPTが、主流ですが、会話力を測るテスト項目が含まれていないことから、JLPT試験で高得点であるが、実際の会話力が低い…という企業からのお問い合わせが非常に多く、当スクールが過去1,000名程度の受講生のレベルをベースに、会話力に特化した10段階評価のレベルを設定しました。公式のものではないため、独自基準として、受講生の現状の会話力レベルチェック、目標設定、受講生がどの程度レベルアップをしたか客観的に数値評価をするために活用しています。
私たちは、OPIレベル基準※をもとに、10段階で会話力を評価します。
※OPI(oral proficiensy interview)とは、口頭運用能力を計測するために開発された、1対1のインタビュー形式の試験で、会話力を10段階に分けて評価します。
1,000名以上の受講生実績データをもとにした、
会話レベルとビジネス現場でできることについて
|
JLPTレベル |
会話レベル |
ビジネス現場でできること |
初級 |
N5レベル相当 |
1 |
「こんにちは」「私は○○人です」「名前は○○です」などいくつかの決まったフレーズを使うことができる。 |
2 |
「仕事は~時からです」「仕事は~曜日です」など、日課について簡単に言うことができる。 |
||
3 |
「休みはいつですか」「日曜日です」など、日常的なことについては、短い受け答えができる。 |
||
中級 |
N4~N3レベル相当 |
4 |
聞き返しは多いが、日本人社員がゆっくり話してあげれば、なんとかコミュニケーションは成立するレベル。 |
5 |
日本人社員がゆっくり話せば、コミュニケーションは成立するレベル。会議中の会話内容の理解度は30~40%程度。 |
||
6 |
社内での日本人社員との会話は比較的スムーズにできるレベル。会議中の会話内容の理解度は60%~70%程度。 |
||
上級 |
N2~N1レベル相当 |
7 |
社内での日本人社員との会話は問題なくスムーズにできるレベル。会議中の会話内容の理解度は80%~。 |
8 |
たいていの場合において言葉に詰まることなく、わかりやすく説明することができる。社会的、専門的な話題にもついていける。敬語も十分に使えるので、顧客とのやり取りを1人で任せられるレベル。 |
||
超級 |
かなりネイティブに近い~ |
9 |
かなりネイティブに近いですが、ことわざなど独特な言い回しは理解はできても使うことは難しい場合がある。 |
10 |
ビジネス経験のある日本人と比べても遜色が無い。 |
(※1000名のデータに基づく)
次に当スクールでレッスンを行なっている生徒さんの実際の会話レベルの動画について紹介します。御社の場合は、どのレベルを目指せばいいか実際の音声を聞きながらご参考にしてみてください。
会話レベル4、建設現場の技術者(ベトナム人)の場合
様々な質問に文単位で話すことや質問に答えることができます。しかし詳しく答えようとしても限られた身近な話題以外は、話を完結させることができずに途中で切れてしまいます。また発音では母語の影響が出ています。
会話レベル6、ITシステム開発の技術者(中国人)の場合
質問に対して様々な状況を理解して、具体的な例を挙げながら分かりやすく答えることができます。全体的にまとまりのある文章を話しますが、内容が複雑になったり、文章を長くしたりすると流暢さが落ちてしまいます。
会話レベル8、ITシステム開発の技術者(中国人)の場合
自分の考えやトピックの背景を詳細に話し、一歩進んだ発想で話を進めることができ、発話量も安定しています。上級レベルの内容を話したり表現を使ったりすることができています。
学習時間とアウトプット量の確保
日本語力の上達は、「インプットとアウトプット」のサイクルをどのくらい回せるかにかかっています。
研修・自学を通して、業務に直結した内容を学び現場で「書く・話す」機会を増やすことで、学びを体得できます。
つまり外国人社員の日本語力を短期間で向上させるには、「現場に近い研修内容」と「現場でのアウトプット機会」が重要となってきます。研修会社を選ぶときには、「実践的なカリキュラムか」を確認して選ぶとよいでしょう。
また企業様で日本語アウトプット機会を用意してあげると研修との相乗効果がでるので、学習スピードが向上します。
下記ページでは、実際の研修事例をもとに、レベルチェックと目標設定、学習プラン、受講後の成果についてご紹介しておりますので、よろしければご参考ください。
外国人社員向けの日本語研修を効果的に進める目標設定のポイント 製造業事例と学習プランのご紹介
会話レベルは学習者が持つレベルと企業様が求める目標レベルを元に期間などを算出するのですが、企業側としてはあらかじめ期間や習熟度などの効果が明確である方が理解がしやすいでしょう。
外国人従業員がいる多くの企業では外国人社員にも即戦力として働いて欲しいと考えるため、日本語学習は費用対効果を考慮し力を入れて取り組みたい分野でもあるでしょう。
ここでは実際の教育事例や外国人社員採用についてお役立ちコラムを定期的に配信します。