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外国人機械設計者の育成に必要な日本語教育とは

2025年12月11日 公開

少子高齢化により、日本の機械製造・設計業界では慢性的な人手不足が続いています。その解決策として、近年では外国人材の採用が急速に進んでいます。
特に、「技術・人文知識・国際業務」ビザや「特定技能制度」を活用し、海外の工科大学や専門学校で機械分野を学んだ優秀な人材を採用する企業が増えています。彼らは高い専門知識と技術を持ち、将来的に日本の製造業を支える貴重な戦力として期待されています。

しかし実際の現場では、「日本語の壁」によってその能力を十分に発揮できないケースが少なくありません。設計書やCAD操作は理解できても、日本語での仕様説明や打ち合わせの意図を正確に把握できず、作業ミスやコミュニケーションロスにつながることがあります。


また、「報告・連絡・相談」の習慣が徹底されず、トラブル対応が遅れる、職場に馴染めず早期離職につながる、といった課題も多く聞かれます。今後、外国人の機械設計エンジニアを“即戦力”として育成していくためには、専門知識だけでなく、日本語教育を戦略的に取り入れることが不可欠です。

機械設計エンジニアに求められる日本語力とは

機械設計エンジニアが日本で働く上で求められる日本語力は、単に「話す」「聞く」だけではありません。
現場では以下のような能力が求められます。

  • 設計図面・仕様書の読解力
    日本語の専門用語や図面上の指示を正確に理解する力。特に「寸法公差」「ねじ締結条件」「表面処理」など、微妙な表現の違いが品質に影響します。
  • 報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)
    業務中に問題が発生した際、「いつ・どのように」報告するかを日本語で正確に伝える力が重要です。
    例えば「少し遅れています」「もうすぐ終わります」といった曖昧な表現は、現場の混乱を招く原因になります。
  • 打ち合わせでの理解力と発言力
    上司やチームメンバーとの設計レビュー、仕様確認の場では、相手の意図をくみ取り、質問や意見を適切に伝える能力が求められます。
    特に敬語表現や曖昧表現など、日本独特のコミュニケーション文化への理解も欠かせません。

よくある課題と現場の声

外国人機械設計者は高度な専門知識や設計スキルを持っている一方で、「日本語」という壁によって本来のパフォーマンスを十分に発揮できないケースが少なくありません。実際の企業やプロジェクト現場からは、日本語運用能力に起因する次のような課題が報告されています。

◆ 設計変更の意図が正しく伝わらない

機械設計では、細かな仕様変更や追加要件の調整が日常的に発生します。しかし、変更指示を日本語で伝える際にニュアンスが曖昧になると、以下のような問題が起こりやすくなります。

例:

・設計変更の指示内容が誤って解釈され、再修正が必要になった。

・「とりあえず対応しておいて」などのあいまい表現が誤解され、想定と違う方向で作業が進んでしまった。

設計業務は専門性が高いだけに、わずかな認識のズレが大きな工程ロスにつながる可能性があります。

◆ 日本語の“ビジネス表現”が原因で進捗が止まる

日本人同士では当たり前のビジネス表現でも、外国人にとっては非常に理解しづらいことがあります。 例えば、

・「“できれば早めに”と言われ、具体的な納期がわからず作業が遅れた」

・「“検討します”と言われたので作業を中断して待っていたが、日本人側は“検討しながら進めてほしい”という意味で使っており、進捗が止まってしまった」

日本語独特の“曖昧な同意・保留表現”を誤解することで、プロジェクト全体のスケジュールに影響が出ることもあります。

◆ 図面は読めても、会議・ディスカッションで力を発揮できない

多くの外国人機械設計者は、CAD操作や図面理解に関しては高いスキルを持っています。しかし、会議やレビューの場では、日本語で的確に意見を述べたり、技術的な議論をリードする力に課題が残ることがあります。

現場の声:

・ 「図面は完璧なのに、会議では意見を言えず議論に参加できない」

・「設計の意図を日本語で説明できず、チームメンバーに理解されにくい」

こうした状況が続くと、本人の評価が正当に反映されないだけでなく、チーム内の連携不足にもつながります。

こうしたトラブルの多くは、専門知識の不足ではなく日本語の理解と使い方に起因しています。


特に「ビジネス上のやり取りに必要な中級レベルの日本語力(JLPT N3〜N2)」が不足している場合、細かなニュアンスや職場文化を理解することが難しくなります。

ある製造企業の教育担当者は、「外国人設計者は真面目で技術力も高い。しかし、“報告のタイミング”や“上司への伝え方”が分からず、結果的に評価が低くなることがある。
本来なら活躍できる人材を、言葉の壁で埋もれさせたくない。」と話されておりました。

外国人機械設計者の育成に必要な日本語教育とは

一般的な日本語学習では「旅行会話」や「日常会話」が中心で、業務現場で必要な表現とは大きく異なります。
たとえば、次のような表現は現場で頻繁に使われますが、教科書では学びにくいものです。

  • 「ここの寸法、もう少し余裕を見てもらえますか?」
  • 「この仕様だと強度が足りない可能性があります。」
  • 「急な変更で申し訳ありませんが、再検討をお願いします。」

これらは単なる文法理解ではなく、「相手への配慮」「遠回しな伝え方」など日本の職場文化を理解して初めて使いこなせる表現です。
そのため、外国人設計者には文化的背景を含めた実践型日本語教育が求められます。

日本語力の基礎レベルを上げることから

入社時点でN5〜N4程度の日本語力を持つ外国人社員の場合、最低限の日常会話は可能であったとしても、業務上の指示や専門的な会話には不十分です。そのため、まずはN3レベル(中級)への到達を目標にし、その後N2レベル(上級)へ育成する段階的トレーニングが効果的です。

N3レベルでは、基本的な会議理解や報告書作成が可能になります。
さらにN2レベルまで育成できれば、専門会話や設計レビューでの発言、後輩指導なども任せられるようになります。
このステップアップを計画的に支援することで、外国人社員を「教わる側」から「教える側」へと成長させることができます。

機械設計者に求められる主要資格の概要

外国人機械設計者が日本企業で長期的に活躍し、キャリアアップを実現するためには、専門資格の取得が大きな意味を持ちます。特に 「機械設計技術者試験」「CAD系資格」 は、企業側が人材を評価する代表的な資格です。これらは設計力だけでなく、品質・安全・コミュニケーション能力を含めた総合的な技術力の証明となり、入社後のキャリアステップやプロジェクトの信頼性向上にも直結します。

◆ ① 機械設計技術者試験(1級・2級)

機械設計者のために特化した専門資格であり、材料力学・機械加工・強度計算・製図など実務に直結する知識を体系的に証明できます。外国人エンジニアにとっては、“日本基準の設計力”を証明する現実的な資格の一つです。

<資格取得のメリット>

  • 技術士より取得ハードルが低く、外国人のスキル証明に最適
  • 設計者としての基礎〜応用力を客観的に証明
  • 製造・品質部門とのコミュニケーションが円滑に
  • 入社後のキャリアステップが明確化

<外国人にとっての壁:日本語の読解、技術用語の理解>


試験問題は専門用語が多く、日本語の文脈理解を必要とするため難易度が高い。

出題例:

  • 「曲げ応力に関する説明として不適切なものはどれか。」
  • 「製図における投影法の特徴として最も適切なものはどれか。」

「不適切」「適切」「最も…」といった表現は、日本語学習者が苦手とする形式。


また「切削加工」「弾性変形」「偏心荷重」「表面粗さ」「はめあい」など、技術用語と読解力が両方必要。

◆ ② CAD系資格(3D CAD 利用技術者試験/AutoCAD・SolidWorks認定)

CADスキルは、機械設計者にとって国際共通スキルとして、外国人エンジニアが実務に早く馴染むための現実的で効果的な資格です。

<資格取得のメリット>

  • 実務で求められるCAD操作能力を証明
  • 図面・3Dモデルを用いたコミュニケーションが円滑に
  • 設計者としての即戦力性が向上

<外国人にとっての壁:操作説明や専門用語の日本語>

CAD資格は操作中心とはいえ、試験内容・操作説明書・問題文は日本語表記が多く、以下のような課題が生まれます。

例:

  • 「拘束条件」「フィレット」「アセンブリ」「干渉チェック」など英語由来でも日本語として理解が必要
  • 日本語での手順説明が理解できず、問題の意図を取り違える

CAD試験には、以下のような実務特有の用語も多く、「押し出し」「スケッチ平面」「拘束」「モデリング履歴」「干渉」など現場で必要だが、一般学習教材には載っていない語彙ばかりです。

◆ JLPTだけではカバーしきれない語彙

多くの外国人が日本語能力試験(JLPT)を指標に学習していますが、これらの技術試験はすべて「高度な日本語読解力」「専門語彙」「設問形式の理解」が必要であり、JLPTには含まれない業界特有の語彙が多数出てきます。

そのため、外国人機械設計者が資格を取得するためには、試験対策として一般的な日本語教育とは別に、「専門日本語(技術日本語)」「実務語彙」「試験特有の読解トレーニング」に特化した支援が必要です。

現場で使える おすすめ日本語教材紹介(実務・語彙) 

実際に仕事の現場で使える日本語の研修には、信頼できる教材の活用が欠かせません。以下に、現場で役立つ実践的な教材をご紹介します。

■ 「ゲンバの日本語(製造業で働く外国人向け)」
内容:製造業や建設業の現場で頻出する単語やフレーズを中心に、現場でのコミュニケーション能力を効率よく向上させることを目指しています。作業面、安全面、指示・コミュニケーション面を中心に、実際に現場で使用される状況を想定したロールプレイ学習を通じて日本語コミュニケーションレベルの向上を図ることができる。
本冊URL:https://www.3anet.co.jp/np/books/4232/
単語帳URL:https://www.3anet.co.jp/np/books/4234/

この教材は、すでに多くの企業で導入されており、外国人にわかりやすく作られている点が高く評価されています。

【建設・製造分野】の外国人向け日本語教材まとめ 9選

豊富な実績とノウハウを持つ日本語オンラインスクールのご紹介

私たち日本語オンラインスクールでは、これまでに多数の外国人機械設計エンジニア向けに日本語オンライン研修を実施してきました。
企業様ごとの業務内容や対象社員のレベルに合わせ、柔軟にカリキュラムをカスタマイズしています。

講師陣は、ビジネス経験を持つ日本語教育のプロフェッショナル。初級から中上級まで幅広いレベルに対応し、技術会話・職場マナー・報告訓練など実務直結型のレッスンを提供しています。

すべての研修はオンラインで受講可能なため、国内外の拠点から同時に参加できます。専任講師による個別サポート、学習進捗の共有、定期的なフィードバックを通して、受講者の成長をしっかりフォローします。

もし、外国人設計者の日本語力強化に課題を感じている企業様がいらっしゃいましたら、
ぜひ一度、私たち日本語オンラインスクールにご相談ください。
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