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外国人従業員へのビジネス日本語研修で押さえておくべき教え方について
2023年10月31日 公開
近年、外国人従業員を受け入れている企業がオンラインでのビジネス日本語研修を導入する例が急増しています。そういった中で、どのようにすれば外国籍の社員にビジネス日本語力を効果的に伸ばす事ができるかといったご相談いただくことが増えてきました。
「ビジネスシーンで使える日本語を教えたいけど、どう教えたらいいのか分からない」
「外国籍社員が日本語のどこでつまづいているのかが分からない」
「日常会話はできるのだけど、ビジネスコミュニケーションだと何か違和感がある。。」
この記事ではそのような外国人従業員のビジネス日本語力研修で悩まれている方向けに、研修内容で抑えておきたい教え方について紹介をしていきます。
そもそもビジネス日本語は我々日本人が思っている以上に難易度が高い
外国人がビジネスで日本語を使用することは、高い難易度が伴います。皆さんの中でも日本語は世界的にも特に難解な言語と言われていることを聞いた事があるかもしれませんが、これが、ビジネス日本語となるとさらに難易度が上がります。
ビジネス日本語を使う場面では、言語の理解だけでなく、取引先や同僚とのコミュニケーションや意思疎通が重要であり、対人関係に応じた言葉遣いも求められます。例えば敬語と謙譲語の使い分けなどがそれにあたります。また、日常の業務内容には、電話対応、会議や商談への参加、書類作成などが含まれ、これらの業務には日常会話以上の専門的なスキルが必要です。
ビジネス日本語研修にはまず日本語文法の基礎が大事
ビジネス日本語研修の実施にあたって、外国人にとって理解が難しいとされる日本語の特徴を理解しておくことが大事です。例えば以下が挙げられます。
- 主語や述語が省略されることがある。
- 接続詞が多く、文章が複雑になることがある。
- オノマトペが頻繁に使用されることがある。
- 漢字には音読みと訓読みが存在する。
より具体的に詳細を見ていきましょう。
主語や述語が省略されている
日本語における主語や述語の省略は、外国人の日本語学習にとって戸惑いの要因となります。例えば、「今日あいてる?」という文は、日本人には理解しやすいかもしれませんが、外国人にとっては主語が不明確であるため、混乱することがあります。この文には実際には「あなたの予定は」という主語が含まれており、より明確に伝えるためには「あなたの予定は今日あいていますか?」と表現するのが適切です。
日常的に使っている文章において、主語や述語が省略されていないか意識することは、外国人にとっても理解しやすいビジネスコミュニケーションをする上で役立つでしょう。
多用される接続詞
日本語では、文章を繋ぐために「~だから」「~のため」といった接続詞が多く使用されることがあり、これによって文章が冗長になることがあります。文章が長くなると理解が難しくなるため、文を短く切り分け、一文一文を明確にすることが外国人学習者にとって理解しやすくなります。
頻繁なオノマトペの使用
「ソワソワする」「ワクワクする」などのオノマトペは、外国人学習者にとって難解です。これらの言葉は外国語に直訳するのが難しく、代替単語がないことがあります。オノマトペの他にも、方言や流行語は極力避けるよう心がけましょう。
漢字の音読み・訓読み
日本語にはひらがな、カタカナ、漢字が存在し、漢字の中でも音読みと訓読みが混在しています。特に音読みと訓読みの使い分けは外国人学習者にはなかなか困難です。この点については、日常生活で漢字を使ってみて、その違いを実体験を通じて理解し、覚えていくことが大事です。
これらは、日本語の独特な文法や表現であり、英語とは文法の構造が異なるため、多くの外国人がこれらの特徴に戸惑うことがあります。まずビジネスコミュニケーションの研修では教える側がこれらの基礎を守った上で、外国人に対してわかりやすく説明をしていくことが非常に大切です。
ビジネス日本語研修ではとにかくわかりやすさを徹底
短い文で話す
日本語は主語・述語が省略されたり、接続詞を多用することがあり、文構造が複雑になることがあります。日本語を教える際には、接続詞を極力減らし、簡潔な文章を使用することが重要です。また、ビジネスシーンで学生言葉やタメ語、「~である」「~だ」といった文語体にならないように「ですます調」の丁寧語で統一することも大事です。
イラストや写真を活用する
外国人に日本語を教える際に、イラストや写真を使って説明するのは有効な方法です。たとえば、「社内調整をする」という表現を教える際に、どの部署の誰と誰に何をするのかをフロー図などで示すことで、外国人学習者は業務の流れと登場人物を視覚的なイメージを持つことができます。視覚的な情報を提供することで、単語や文章を覚えやすくなります。個人の学習スタイルに合わせて、効果的な方法を選びましょう。
日本独特の日本ビジネス習慣をしっかり腹落ちしてもらう
ビジネス日本語研修をする際、海外ではあまり見られない独特の言葉の言い回しであったり、商習慣が多数あります。例えば、ビジネスで初対面の人に対して、「お世話になります」や「お世話になっております」と言う事に違和感を覚える外国人は少なくありません。
このケースですと、直接、本人はお世話になっていないかもしれませんが、同僚や上司が業務上、お世話になっている可能性があります。また、今後、ビジネス上でお世話になる可能性もあるため、お世話になりますと伝えることはむしろ関係値を良くすることにもつながるのでメリットがあることを伝えると外国人も腹落ちがするでしょう。
他にも仕事で電話をしている時、相手の声が聞き辛かった場合、「お電話が遠いようで~」という聞き方がありますが、これも相手の声が聞こえづらい事を電話のせいにすることでオブラートに包んだ気遣いのビジネスコミュニケーションのひとつになります。相手への気配りをする日本の文化であることを伝えると、より理解を深める事が期待できます。
このようにビジネス習慣の背景にはそれなりの理由があるため、外国人に対しては日本語の習慣だから有無を言わさず暗記するようにと言うのではなく、きちんと理由を説明して理解をしてもらうことがビジネス日本語研修ではとても大切です。
まとめ
日本語オンラインスクールでは、法人向けのビジネス日本語研修を提供しています。ご紹介可能な導入事例も多数ありますので、ぜひ以下の記事も参照していただけましたら幸いです。また、外国人社員の日本語教育にお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。
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