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【メーカー向け】海外内定者の日本語力強化に!来日前オンライン日本語研修のすすめ
2025年11月4日 公開
日本企業における外国人材の採用は年々増加しています。
特にベトナムのハノイ工科大学やインドのIITをはじめとした工科大学など、理工系の優秀な学生を採用するメーカー・製造業や技術系企業では、国内の人手不足に加え、海外拠点との連携強化が求められるなか、現地での直接採用を通じてエンジニア人材の確保を加速させています。
機械設計・電気電子・生産技術といった専門領域で活躍できる人材を現地大学から採用し、日本赴任前にオンラインで日本語力を強化する取り組みも増えています。
一方で現地での採用時の日本語レベルがJLPT N5〜N4の場合、多くの企業が次のような課題に直面しています。
- 採用した外国人社員が日本人社員とのコミュニケーションが上手くとれないため、現場での育成、OJTに多大な時間がかかる
- 定着率に懸念があり、採用投資効果が最大化できていない
- 採用時に期待したスキルが発揮されるまでに時間がかかる
これらの要因として大きいのが 日本語コミュニケーション能力の壁です。例えば、敬語・クッション言葉等がうまく使えなかったり、日本特有の「空気を読む」文化が理解できず、指示の意図を読み違えてしまうなどです。
これは、語彙や文法の理解だけでは対応できない、日本特有のビジネス文化・言語使用の課題が背景にあります。そのため、ここ数年では日本への赴任前研修として、オンラインでの日本語研修を導入する企業様が増えています。
当記事では、当社でのオンライン日本語研修の導入事例も交えつつ、海外の現地で採用した外国人社員が来日後に即戦力として活躍してもらうために、渡航前でのオンライン日本語研修について紹介をさせていただきます。
なぜ「入社前・来日前」に日本語研修をやるべきなのか
外国人社員の日本語研修は、これまで入社後にまとめて実施することが一般的でした。しかし、現場配属後は「業務に慣れることが最優先」となり、研修の継続が難しくなるのが実情です。一方、日本への渡航前に事前に研修を実施する企業は年々増加しています。その背景には次のような、明確な3つのメリットがあります。
① 配属前ギャップをなくし、“実務対応できる状態”での入社が可能に
特に、現地の工科大学理工系の新卒を採用される場合は、スタートがN5-N4レベルであることも少なくないのではないでしょうか。
- 指示が正しく伝わらない
- 作業報告が不十分
- 会議内容が理解できず参加できない
特にメーカー等の製造現場を例に挙げると「安全に直結する指示内容の理解力」や「専門用語や略語理解」が欠かせないため、現場は負担増になりがちです。そのため、来日前に実務で使う日本語研修で基礎力を底上げしておけば 早期で会議に参加をすることや育成コスト・育成工数の削減を図ることで実務投入のスピードが格段に変わります。
② 入社後の研修負担が軽減され、本来業務に専念できる
入社後研修は概ね以下の課題が起こりやすい傾向にあります。
| 課題 | 結果 |
| 現場優先で研修時間が確保できない | 日本語力等の伸び悩み |
| 業務と両立が難しくストレス増大 | 外国人社員の定着率悪化 |
| スケジュール調整が煩雑 | 人事の負荷増 |
このような課題に対しては来日前に十分に学習を積むことで「入社後研修の削減」や「配属部署の負担が減り、現場も受け入れやすい」そして、外国人社員が仕事に集中しやすくできる環境の醸成ができることで「入社直後から働ける安心感」を本人にも周囲にも提供できます。また、外国人社員だけでなく、人事側でもオンライン上で来日前の準備に関するコミュニケーションも時間と場所にとらわれずできるため、よりスムーズなオンボーディングを進めることができるのがオンラインでの赴任前研修のメリットにもなります。
③ 異文化ギャップによる離職リスクを未然に防ぐ
外国人社員の早期離職の大きな原因は「コミュニケーションの壁」や「文化・習慣の違いによる孤立感」、「期待値とのミスマッチ」です。(参考:厚生労働省:外国人労働者の職場・地域における定着)
オンライン日本語研修で事前に「日本人の働き方や価値観の理解」や「失礼にならない敬意あるコミュニケーション」「空気を読む/曖昧な表現の受け取り方」を学ぶことにより、仕事の現場における日本語コミュニケーションによるストレスを下げ、周囲との信頼関係が構築しやすくすることで定着率の向上が期待できます。
内定出し〜来日・入社までの期間(6〜8ヶ月間)を活用した「企業主導の日本語学習計画」例
ここでは、内定から入社までの期間を活用した日本語学習についてご紹介します。東南アジアの大学(ベトナム・フィリピン・インドネシアなど)では、一般的に卒業時期は6月〜9月です。
企業・業界によっても違いはありますが、日本企業が現地の4年生を対象に採用活動を行うのは、前年の11月〜翌年2月頃に集中しており、この時期に内定を出すケースが多く見られます。したがって、次のように入社時期ごとに確保できる準備期間が異なります。
| 入社時期 | 内定出しの目安 | 日本語学習に充てられる期間 |
| 翌年4月入社 | 前年11月~翌年1月頃 | 約9~10か月間 |
| 翌年9~10月入社 | 当年1~3月頃 | 約6~8か月間 |
この期間を有効に活用することで、入社時点での日本語力を1段階レベルアップさせることが可能です。
以下では、代表的な2つの学習パターンと、その学習時間・ペースの目安を紹介します。
日本語学習パターン別の到達目標と学習時間の目安 | ||
| 項目 | パターン①N5スタート → N4到達 | パターン②N4スタート → N3到達 |
| 対象層 | 初級日本語(あいさつ・自己紹介レベル)を習得済みの理工系学生:N5レベル | 基本文法・語彙を習得済みの理工系学生:N4レベル |
| 目標レベル | 日常会話や基本的な職場指示を理解できるレベル(N4レベル) | 職場での会話・作業報告・簡単な会議理解が可能なレベル(N3レベル) |
| 必要学習時間 | 約150〜250時間 (N5→N4に必要となる時間数です) | 約150〜200時間 (N4→N3に必要となる時間数です) |
| 学習期間の目安 | 約6ヶ月前後(8か月あれば余裕を持って達成可能) | 約6ヶ月前後(8か月あれば余裕を持って達成可能) |
| 1日の学習時間の目安 | 平日1〜1.5時間(週5〜7.5時間ペース) | 平日1〜1.5時間(週5〜7.5時間ペース) |
| 主な学習内容 | ・基本文法と動詞活用の定着 ・職場でのあいさつ・安全確認・報告表現(例:「完了しました」「確認しました」など) ・簡単な会話練習(例:上司の指示への応答・報告) | ・職場で頻出する指示・報告表現(例:「〜してもよろしいですか」「〜するように言われました」など) ・製造・設計・安全・品質管理などの専門語彙 ・聴解トレーニング(上司の指示・打ち合わせ内容の聞き取り) |
| 学習成果イメージ | 簡単な指示・会話を理解し、現場での基本コミュニケーションが可能に | 会議参加・作業報告など、業務に必要な会話運用が可能に |
【実例の紹介】海外在住の外国人材向けオンライン日本語事前研修の事例
赴任前研修のメリットについて紹介していきましたが、「来日前の研修ではどのような日本語教育を行っているのか?」と気になる企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、当社が支援してきたオンライン日本語研修の事例を踏まえ、その概要をわかりやすくご紹介します。
当社に日本語研修をご依頼いただく企業様は、メーカーなどの製造業の業種が多く、外国人材はベトナムが最も多く、次いでフィリピンが続きます。多くの場合、現地での直接採用であり、現地の有力工学系大学と提携し、優秀な人材を確保しているケースが多いです。
例えば、顧客の大手上場メーカー様の事例ではベトナムやインド現地のトップの工科大学からエンジニアを毎年10名の新卒採用(機械や電気系のエンジニア等)をおこない、日本語レベルは採用時点ではN5〜N4が中心ですが、中期的に、N3、N2と、ステップアップしながら入社後はN2レベルの習得を目標に研修を進めていきます。
研修内容については基礎的な日本語研修ではなく、外国人社員の日本語力のレベルチェックをおこない、各人にマッチした個別カリキュラムを作成します。また、実際に仕事の現場で使われる日本語コミュニケーション等を鍛えるためのカスタマイズレッスンも対応しており、即戦力として活躍できるよう手厚く研修のご支援をさせていただいています。
現地との2時間ほどの時差の関係上、日本では19:00-21:00頃のレッスン開始時間であることが多いです。
また、オンライン日本語研修で使用するテキストも日本から現地にEMSで代行して配送手配等もおこなっています。
こちらの企業さんでは、内定後、来日入社後も、中期的に、N4→N3、N3→N2へとステップアップしていく育成計画を立てられており、それに基づき日本語レベルアップを実現されていらっしゃいます。人事の方へは毎月各受講生の学習進捗状況を共有しながら、進め方についても適宜ディスカッションを取り入れながら効果的な研修対応をしています。
おすすめ教材紹介(実務・語彙)
日本語教育には、信頼できる教材の活用が欠かせません。以下に、現場で役立つ実践的な教材をご紹介します。
■ 「ゲンバの日本語(製造業で働く外国人向け)」
- 内容:製造業や建設業の現場で頻出する単語やフレーズを中心に、現場でのコミュニケーション能力を効率よく向上させることを目指しています。作業面、安全面、指示・コミュニケーション面を中心に、実際に現場で使用される状況を想定したロールプレイ学習を通じて日本語コミュニケーションレベルの向上を図ることができる。
- 本冊URL:https://www.3anet.co.jp/np/books/4232/
- 単語帳URL:https://www.3anet.co.jp/np/books/4234/
この教材は、すでに多くの企業で導入されており、外国人にわかりやすく作られている点が高く評価されています。
豊富な実績とノウハウを持つ日本語オンラインスクールのご紹介
私たち日本語オンラインスクールでは、これまでに多数の来日前の外国人の機械・電気系エンジニア向けの日本語オンライン研修実績を持ち、企業様ごとのニーズに合わせた柔軟な研修カリキュラムをご提供しています。
また弊社の日本語講師はすべてビジネス経験を持つ日本語教育のプロフェッショナルになります。初級から中上級までの日本語力に対応し、ビジネスマナーを含めた実践的な研修が可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。海外で採用した外国人社員が、日本で早期に戦力として活躍するためには、「日本語コミュニケーション力の強化」と「日本の職場文化への理解」が欠かせません。来日前の段階からオンラインで日本語研修を導入することで、入社後のミスマッチや育成負担を軽減し、定着率と実務対応力の向上につながります。
当スクールの受講生の方は、JLPT受験前にでオンラインハーフ模試を受講いただけます。また、受講前後での実際の日本語会話レベルのチェックや毎月月初に人事の方へ各受講生の学習進捗レポートも行っています。講師とレベルやウィークポイントのチェックが可能ですので、効率的に学習を進められます。
赴任前のオンライン日本語研修の導入を検討されている企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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