日本語オンラインスクール > 代表者コラム >
【企業研修でJLPT合格】“ゲンバ”で活かすための活用法と注意点
2025年11月4日 公開
外国人社員の採用が進む中で、企業研修でJLPT(日本語能力試験)を導入する企業が増えています。
業務を円滑に進めるための「日本語力」を客観的に評価する仕組みが求められ、有効な手段の1つとして挙げられるのがJLPTです。
JLPTは国際的に認められた日本語力の指標であり、導入すれば教育や評価の基準が明確にできます。
本記事では、企業研修でJLPTを導入するメリット、実務につながる研修設計のポイント、導入時の注意点や成功のコツを解説します。
なぜ企業研修にJLPTを導入するのか
外国人社員の日本語力を“見える化”できる
JLPTは、N1からN5まで5段階のレベルで日本語力を測定する試験です。
そのため、「この外国人社員はどのくらいの日本語力なのか」が明確になり、採用後の研修や配置の判断に役立ちます。
面接や現場評価だけでは見えにくい「読む・聞く」力を定量的に把握できることが大きなメリットです。
また、レベルごとの到達目安が明確なので、「半年後にN3を目指す」「2年でN2レベルに育成する」といった具体的な人材育成計画を立てやすくなります。
評価・昇進・配置に活かせる
JLPTのスコアや合格級を人事評価や昇進要件の一部に取り入れる企業も増えています。
「日本語力の成長=業務遂行力の向上」として評価できるようになることで、外国人社員のキャリア形成にもつながります。
また、レベルに応じた業務配分や顧客対応の可否を判断する基準にもなり、組織全体での公平な人事運用が可能になります。
職場コミュニケーションの改善につながる
JLPTを研修に組み込むことで、日本語での報告・連絡・相談の精度が高まります。
言葉の誤解が減れば安全性も向上し、ミスやトラブルの防止にも効果があります。さらに、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、チームとしての一体感も生まれやすくなります。
JLPTを活用した研修設計の基本ステップ
現状把握とレベル分け
研修の第一歩は、社員の現状把握です。
入社時にレベルチェックテストを行い、N1〜N5のどの段階にあるかを把握します。
初級者には日常会話と基礎文法を中心に、中級者には業務で使う敬語や書き言葉を重点的に指導するなど、段階的な育成が必要です。
学習目的の明確化とゴール設定
「JLPT合格」を目的とするだけでなく、「会議で意見を述べられる」「報告書を書ける」など、業務につながるゴールを設定しましょう。
企業の目的と社員の成長目標を一致させることで、学習意欲を高めることができます。
定期テスト・モチベーション管理の仕組み化
JLPTは年2回しか実施されません。そのため、試験本番だけを目標にしていると、モチベーションが下がりやすくなります。
月ごとや四半期ごとに小テストや模試を実施し、進捗を“見える化”することが効果的です。
社内表彰や報奨制度を取り入れると、学習継続のモチベーション維持につながります。
“ゲンバ”で生きる日本語力を育てる研修設計
業務マニュアルや会話例を学習に取り入れる
JLPTなどの「試験の日本語」と「現場で実際に使う日本語」は少し違いますが、JLPTのために学習することで日本語力の基礎が身につき、現場で使う日本語も覚えやすくなります。
例えば、「安全確認の声かけ」や「上司への報告例」などの会話練習を取り入れると実務に活きるので効果的です。
JLPTの学習と並行して業務マニュアルや上記のような会話例を学習に取り入れると、ただの「試験のためのお勉強」ではなくなり、外国人社員も学習意欲が高まるでしょう。
現場上司・指導者のフィードバックを活用する
研修だけでは完結しません。日々の業務の中で、上司や同僚が「この言い方の方が自然です」「こう伝えると丁寧です」といったフィードバックを行うことで、実践的な学習が進みます。
ロールプレイやOJT型研修を導入する
業務を想定したロールプレイ研修を行うと、会話力・対応力の両方を伸ばせます。
「接客」「電話対応」「報告ミーティング」など、リアルな状況を再現し、講師や上司が改善点を共有します。
OJTと連携すれば、学びが即実践につながり、現場力が一段と高まります。
JLPT導入の注意点と失敗しないための対策
スコア偏重による実務力との乖離
JLPTは読解・聴解が中心で、話す力や書く力は直接測定されません。そのため、合格しても会話が苦手な社員がいる場合があります。
スコアだけで評価せず、「現場でどのように日本語を使えるか」を併せて確認することが大切です。
学習継続の難しさと離脱対策
忙しい業務の合間に学習時間を確保するのは簡単ではありません。
企業側が勤務時間内に短い研修時間を設定したり、オンライン教材で自習できる環境を整えたりすることで、学習離脱を防げます。
また、上司が学習成果を定期的に確認し、成長を褒める仕組みも効果的です。
上司・日本人社員の理解不足への対応
日本語教育の重要性を理解していない上司がいると、外国人社員が孤立しやすくなります。
日本人社員にも「なぜJLPTが必要なのか」を共有し、現場全体で外国人社員の成長を支援する姿勢が重要です。
互いに学び合う意識が根づけば、チームの生産性も自然と上がります。
企業が支援すべき“学びの環境”とは
勤務時間内での学習機会を確保する
「勤務中に学習の時間をとる」という企業はまだ少数ですが、これは非常に効果的な方法です。
学習を「業務の一部」と位置づけることで、社員の学びに対する意識が変わります。
短時間でも定期的な学習時間を確保すれば、学習習慣が定着しやすくなります。
社内での情報共有・成功事例の発信
JLPT合格者のインタビューや成果発表会を社内で実施すると、他の社員の刺激になります。
「自分も挑戦してみよう」と思う雰囲気をつくることが、研修を継続的に発展させる鍵です。
成功体験を共有することで、外国人社員の自信にもつながります。
オンラインスクールの活用
外部の日本語教育機関やオンラインスクールを活用する企業も増えています。
プロ講師によるレッスンは、社員の弱点分析や学習進捗管理がしやすく、企業の研修担当者の負担も軽減されます。
また、全国・海外拠点の社員が同時に受講できる点も大きなメリットです。
日本語オンラインスクールでは、企業様のニーズや受講生の方に合わせたJLPT対策をレッスンに組み込むなど柔軟に対応しています。
まとめ:JLPTをうまく活用して“ゲンバ”で活きる日本語力を
JLPTは単なる試験ではなく、企業と外国人社員をつなぐ共通の“ことばの指標”です。
企業が適切に導入すれば、外国人社員の育成と職場全体のコミュニケーション改善を同時に実現できます。
重要なのは、合格をゴールにするのではなく、「JLPTを通じて現場で使える日本語力を育てる」ことです。
企業が学びの場を整え、社員が努力を重ねる――その両輪が回ることで、JLPTは人材育成の有効なツールになります。
“ゲンバ”で生きる日本語力を育てるために、JLPTを賢く、そして継続的に活用していきましょう。
効率よく学びたい人には「日本語オンラインスクール」の活用がおすすめです。プロの講師から直接フィードバックを受けることで、弱点を克服できます。
当スクールの受講生の方は、JLPT受験前に当スクール負担でオンラインハーフ模試を受講いただけます。また、受講前後での実際の日本語会話レベルのチェックや月次レポートも行っています。講師とレベルやウィークポイントのチェックが可能ですので、効率的に学習を進められます。
まずはお気軽にお問い合わせください。
