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日本語能力試験N1に合格するには?レベルや対策を解説!
2025年10月20日 公開

日本語能力試験N1は、日本語学習者にとって最難関レベルの試験です。高度な語彙や文法知識に加え、論理的な読解力や自然な聴解力が問われます。合格できれば、大学院進学や専門職への就職など、日本での活躍の場が大きく広がります。
本記事では、N1の試験内容や合格基準、必要な能力と効果的な学習法をわかりやすく整理し、合格に近づくためのポイントを解説します。
合格すれば、大学院進学や専門職への就職など、幅広い分野で「高度な日本語力を持つ証明」として評価されます。
また、企業にとっても、外国人社員がN1レベルの日本語力を持つことは、専門的な業務遂行やビジネス文書の正確な理解・作成が可能になるなど、即戦力としての価値を高める要素となります。
N1の試験とは?
実際のN1試験では、総合的な日本語力が問われます。本章では以下の3項目に分けて解説します。
- 試験項目
- 試験時間
- 合格点
試験項目
N1は以下の2つのセクションで構成されています。語彙・文法・読解・聴解のすべてで高い水準が求められます。日常会話に加え、学術的・社会的なテーマへの理解力が必要です。
- 言語知識(文字・語彙・文法)と読解
- 聴解
詳しく解説します。
言語知識(文字・語彙・文法)と読解
書き言葉や硬い表現だけでなく、学術論文で使われるような表現を理解する必要があります。
| 文字・語彙 | 語彙数は1万語以上が目安。抽象的・比喩的な語彙、ビジネス・学術表現も多く出題される。 同音異義語・類義語・慣用句・四字熟語なども頻出。 |
| 文法 | 「書き言葉寄り」の抽象的で複雑な構文が多い。
「〜かねない」「〜にすぎない」など、文末や接続で使われる形式文型が出題される。 |
| 読解 | テキスト種類が、新聞・評論・学術論文や意見文・社説、メール・案内文(実用文)など、多様。 内容理解、要旨把握、筆者の意見・意図の把握を問う問題が中心。 |
聴解
日本語のネイティブに近いナチュラルなスピードで話されます。「内容理解」「即時処理型」が組み合わされて出題され、1問のテキストが長い傾向にあります。
試験時間
- 言語知識(文字・語彙・文法)・読解:110分
- 聴解:55分
全体で165分の試験です。集中力の持続と時間配分の工夫が重要です。
合格点
総合点180点中100点以上、かつ各区分(言語知識/読解/聴解)で19点以上が必要です。
どれか1分野でも基準点に達していないと不合格になります。苦手分野を残さない学習計画が求められます。
実際のN1レベルの会話力とは?
こちらは、実際に当スクールで受講されているN1レベルの会話力の方のレッスンの様子となります。実際のN1レベルの生徒の会話例をこちらの動画でご覧ください。
JLPT各レベルと学習時間の目安
日本語能力試験(JLPT)は、N5(初級)からN1(最上級)までの5段階に分かれています。
企業で外国人社員の日本語研修を実施する際には、どのレベルを目標にするかによって、必要な学習時間や研修期間が大きく変わります。
以下は、N1を含む各レベルに到達するまでの一般的な学習時間の目安と、1日1時間の学習を継続した場合のおおよその期間です。
研修計画や人材育成のスケジュール設計にご活用ください。
| レベル | 累計学習時間(初心者から) | 前レベルからの追加学習時間 | 1日1時間学習した場合の目安期間 | 職場で想定される日本語運用レベル |
|---|---|---|---|---|
| N5 | 約150〜300時間 | — | 約5〜10ヶ月 | 簡単な挨拶・自己紹介・日常会話が可能 |
| N4 | 約300〜400時間 | 約150〜250時間 | 約5〜8ヶ月 | 簡単な指示理解、基本的な会話が可能 |
| N3 | 約450〜600時間 | 約150〜200時間 | 約5〜7ヶ月 | 職場での簡単なコミュニケーションが可能 |
| N2 | 約600〜800時間 | 約300〜400時間 | 約10〜13ヶ月 | 業務指示・報連相・文書理解が可能(実務対応レベル) |
| N1 | 約900〜1200時間 | 約300〜400時間 | 約1年3ヶ月〜1年8ヶ月 | 専門職レベル。日本人同等に議論・報告が可能 |
※一部参考:日本語能力試験
N1合格にマストな能力と対策
N1では、単なる語彙量や文法知識ではなく、「文脈理解力」と「論理的思考力」が問われます。以下に主要5分野に必要な能力と対策を整理しました。
文字・語彙
社会や職場、大学・大学院で使われる、高度な語を覚え、運用する必要があります。
| 必要な能力 | 対策 |
| 2000字以上の常用漢字と約1万語の語彙力を身につけ、抽象的・比喩的な語彙、ビジネス・学術表現を理解する |
|
文法
日常の会話ではあまり使わない硬い表現が出題されます。
| 必要な能力 | 対策 |
| 日本語ネイティブが「日常では使うことは少ないが、見聞きすると意味を理解できる」レベルの硬い表現が理解できる |
|
読解
長文の内容理解、要旨把握、筆者の意見・意図の把握を限られた時間内にしなければなりません。
| 必要な能力 | 対策 |
| 新聞・評論・学術論文など様々な種類の文章の論理構造を把握する |
|
聴解
問題の形式(即時応答・課題理解・ポイント理解・概要理解・統合理解)に応じたアプローチを身につけておくといいでしょう。
| 必要な能力 | 対策 |
| 日本語のネイティブに近いナチュラルなスピードで発話された内容を理解し、話の内容や情報が途中で変わっても、必要な情報を即座に処理・理解する |
|
N1対策におすすめの教材
N1レベルでは、量より質を重視した教材選びがポイントです。特に以下の3シリーズが定番です。
| 教材名 | 価格/出版社 | 特徴 |
| 公式問題集 | ¥700(税抜)/凡人社 | 本番の試験と同じ形式で練習できる教材。実際の問題傾向や時間配分を体感できるので、模擬試験として本番前に活用するのも効果的。 |
| 新完全マスター | 語彙、文法、漢字各¥1,320(税込)、読解¥1,540(税込)、聴解¥1,760(税込)/スリーエーネットワーク | 分野別に体系的に学べる定番教材。各区分の整理に最適。演習量が多く、難易度が高い。最後に模擬試験がついているので、力試しができる。 |
| スピードマスターシリーズ | 読解、文法、語彙、漢字、文法、語彙、読解、漢字各¥1,320(税込)、聴解¥1,650(税込)/Jリサーチ出版 | 5つの分野に分かれたテキストで自分の苦手な箇所を重点的に鍛えることができる。特に文法、語彙、漢字はテーマごとにユニットがわかれており、ユニットごとに実践問題やドリル問題があるので試験直前の確認・総仕上げにも効果的。 |
効果的なN1勉強法
本章ではN1の効果的な勉強法を3つご紹介します。
- 頻出語彙や文法をマスターする
- 短時間でも毎日学習を継続する
- オンラインレッスンを活用する
詳しく解説します。
頻出語彙や文法をマスターする
過去問や模試を通じて、出題頻度の高い語彙や文法を優先的に覚えましょう。
文法は日常会話で使うことが少ないものばかりですが、語彙や漢字は運用できると職場や進学先でかなり役に立ち、日本語ネイティブと変わらない言葉の使い方ができるでしょう。
短時間でも毎日学習を継続する
N1合格には長期的な積み重ねが欠かせません。1日20分でも、継続することで確実に定着します。
特にN1の聴解は日本語ネイティブに近いスピードで話されるため、スマートフォンアプリや音声教材を活用し、普段から耳を慣らしておきましょう。
オンラインレッスンを活用する
独学が難しい人は、講師から直接指導を受けられるオンライン学習を取り入れるといいでしょう。場所や時間を選ぶことなく、好きなタイミングで学習ができるため、学習に取り掛かるまでのハードルを下げられます。
日本語オンラインスクールでは、企業様のニーズや受講生の方に合わせたJLPT対策をレッスンに組み込むなど柔軟に対応しています。
まとめ:N1は日本での生活をより豊かにするツール
N1合格はゴールではなく、日本社会でより深く生きるためのスタートです。
高度な日本語を理解し使いこなせるようになることで、留学・就職・研究などの選択肢が大きく広がります。
日々の努力を続け、自分の日本語力を「使える力」として磨き上げましょう。
その成果は試験だけでなく、日本での豊かな生活につながります。
当スクールの受講生の方は、JLPT受験前に当スクール負担でオンラインハーフ模試を受講いただけます。また、受講前後での実際の日本語会話レベルのチェックや月次レポートも行っています。講師とレベルやウィークポイントのチェックが可能ですので、効率的に学習を進められます。
まずはお気軽にお問い合わせください。
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