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IT業界で働くミャンマー人のITエンジニア向け日本語研修
2025年7月8日 公開
日本のIT業界では、慢性的な人材不足が続いており、外国人エンジニアの採用が今や不可欠となっています。その中で、ミャンマー出身のITエンジニアは、高い学習意欲と誠実な人柄で、日本企業の中でも非常に注目されています。実際、オフショア開発やSES(システムエンジニアリングサービス)、受託開発などさまざまな分野で活躍するミャンマー人エンジニアが増えており、国内企業との信頼関係を築くケースも増えています。
ただし、日本の企業文化や職場でのコミュニケーションの在り方は、ミャンマーとは大きく異なる部分もあり、「技術力だけでは評価されにくい」という現実があります。そのため、多くの企業では、「日本語力」と「日本のビジネスマナー」を同時に強化できる日本語研修の導入が進んでいます。
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ミャンマー人の文化的背景とIT現場で起こりやすいコミュニケーションのギャップ
ミャンマーと日本はどちらもアジアの国であり、年上を敬う文化や、礼儀正しさを大切にする点では共通しています。しかし、ビジネスの場面では以下のような違いが、誤解やトラブルの原因となることがあります。
文化的な違いの具体例
- 感情をストレートに表さない傾向
- ミャンマーでは「穏やかさ」や「対立を避ける姿勢」が美徳とされ、上司の指摘や批判を前にすると、反応が薄くなってしまうことがあります。これが「理解していない」「やる気がない」と誤解される場合があります。
- 質問や相談へのためらい
- 「自分から聞くのは失礼」「できないと思われたくない」という文化背景から、問題があっても自力で抱え込んでしまう傾向があります。
- 曖昧な表現に対する戸惑い
- 日本語特有の「遠回しな指示」「空気を読む」コミュニケーションに慣れておらず、表面的には「はい」と答えても、真意が伝わっていないことも多々あります。
これらの違いを埋めるためにも、日本語研修では「言葉」だけでなく、**「状況を読む力」「行動の背景を理解する力」**も重視されます。
IT現場で役立つ実践的な日本語研修の内容例
① 「報連相」強化のためのロールプレイ研修
ITプロジェクトでは、タスクの進捗、リスク、仕様の曖昧さなどをチーム内で共有することが、プロジェクト全体の成功に直結します。そのため、「報告・連絡・相談(報連相)」の精度が、個人の評価にも強く影響します。
研修での具体的な演習例:
- 進捗報告の練習
- 「現在のタスクは80%完了しています。残りは〇〇日で完了予定です」
- 「課題点としては△△が不明確なので、再確認をお願いします」
- 問題発生時の相談
- 「指定されたライブラリがバージョン非対応で、作業に支障が出ています」
- 「代替案を検討中ですが、優先順位の確認をお願いしたいです」
- 修正指示を受けた後の対応
- 「ご指摘ありがとうございます。Aの仕様については改めて再実装します」
これらは単なる台詞練習ではなく、「どのタイミングで・どの場面で・どんな態度で」発信するかも含めて、講師が細かくフィードバックを行います。
② オンラインでの敬語・反応力トレーニング
在宅勤務やリモートワークの普及により、チャットやビデオ会議でのやり取りがIT業界では日常的になっています。しかし、ここでの日本語表現が曖昧だったり、無反応だったりすると、チーム内で「コミュニケーションが取りにくい人」という印象を与えてしまいます。
チャット・会議での練習項目:
- チャットでの基本応答
- 「了解しました」→「承知いたしました」「確認いたしました」などの敬語
- 感謝を添える:「ご連絡ありがとうございます」「迅速な対応ありがとうございます」
- ビデオ会議での受け答え
- 「〇〇さん、発言をお願いします」と言われた際の受け方:「はい、では発言させていただきます」
- 意見の述べ方:「私の理解では、〇〇の仕様について△△だと思います」
- 困った時の表現
- 「すみません、少し聞き取れませんでした」
- 「もう一度画面共有をお願いできますか?」
これらを実際のZoomやTeamsの環境を想定してロールプレイ形式で行うことでアウトプット力を鍛え
③ 日本的な職場マナー・行動研修
日本のIT現場では、技術力と同様に**「周囲と信頼関係を築ける行動」**が強く求められます。とくに以下のような行動は、日本の職場で高く評価される一方で、文化的な背景からミャンマー人にはなじみが薄いこともあります。
重要な行動習慣
- 「5分前行動」の重要性
- 日本では「時間を守る」だけでなく「少し早く来る」が信頼される行動。
- 遅刻は「自分の時間だけでなく相手の時間も奪っている」とされ、特に商談・打ち合わせでは大きなマイナス評価に。
- 「整理整頓」と資料管理の重要性
- ソースコードのフォーマット統一、フォルダ構造、バージョン管理のルールなども「整理整頓」の一環。
- 特にチーム開発では「誰が見てもすぐに理解できる状態」にすることが信頼につながる。
- 「ありがとう」を言葉にする文化
- 成果物のレビュー後に「ありがとうございました」と言えるかどうかがチームの雰囲気を左右。
- 「やってもらって当然」という態度ではなく、「感謝を伝える=仕事の一部」であることを学ぶ。
これらを、ミャンマーの慣習との違いを認識しながら学ぶことで、行動の意味を理解しやすくなります。
豊富な実績とノウハウを持つ日本語オンラインスクールのご紹介
私たち日本語オンラインスクールでは、これまでに多数のミャンマー人社員への日本語研修実績を持ち、企業様ごとのニーズに合わせた柔軟な研修カリキュラムをご提供しています。
また弊社の日本語講師はすべてビジネス経験を持つ日本語教育のプロフェッショナルになります。初級から中上級までの日本語力に対応し、ビジネスマナーを含めた実践的な研修が可能です。
オンラインでどこからでも受講可能、安心のサポート体制
当スクールの研修はすべてオンラインで提供しており、ミャンマー国内はもちろん、世界中どこからでも受講が可能です。また、受講者が安心して学習を進められるよう、専任の講師による個別サポートや、学習進捗の管理、定期的なフィードバックなど、充実したサポート体制を整えています。
カスタマイズレッスンではケーススタディやロールプレイを取り入れた実践型の研修では、実際のビジネスシーンを想定しながら学習することができます。これにより、学んだ知識を即座に実践に活かすことが可能になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。当記事ではIT業界で働くミャンマー人社員向けの日本語研修について紹介していきました。もし研修導入にご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひ気軽にご相談をいただけますと幸いです。
