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日本で働く外国人整備士のための国家資格合格に向けた日本語学習法
2025年6月12日 公開
近年、日本の自動車整備業界では、慢性的な人手不足を背景に、外国人整備士の採用が拡大しています。しかし、現場でのスキルだけでは日本でのキャリアアップは困難であり、国家資格である「自動車整備士(2級・3級)」の取得が重要なステップとなります。
弊社でも外国人の自動車整備士の雇用を予定している企業様からもお問い合わせをいただくことが増えています。例えば、バスの整備士で雇用予定の外国人整備士に日本の自動車整備士免許2級を取得させて、日本人整備士と同じようにキャリアアップを図りたいため、合格に向けての学習レッスンやスケジュールを立てて欲しいというご相談もございました。
本記事では、今後も増加が見込まれる外国人整備士が自動車整備士の資格取得を目指す際に直面する日本語の壁と、それを乗り越えるための効果的な日本語学習法をご紹介します。
自動車整備士国家試験で求められる日本語力とは
自動車整備士国家試験では、選択式・記述式の問題が出題されます。これらの問題に正確に答えるには、以下のような日本語能力が求められます。
- 設問文の正確な読解力
- 自動車関連の専門用語の理解力
- 微妙な選択肢の違いを見極める判断力
- 記述問題で論理的に説明する表現力
たとえば、3級整備士の試験では「この装置は何のために使用されるか?」という設問に対し、構造や動作原理を理解しているだけでなく、それを日本語で適切に表現できる力が必要になります。そのため、単なる日常会話力だけでは不十分であり、業務に即した専門的な日本語力の習得が不可欠です。
また、実際の試験では「次のうち正しいものをすべて選びなさい」というような形式の問題も出題されるため、単語や文法の理解に加え、文全体の意図やニュアンスを読み取る力も重要です。たとえば「異常振動が発生した場合の適切な対応はどれか?」という設問では、複数の選択肢から正しい対応策を選ぶ必要があり、現場での実体験と専門的な日本語力が求められます。
効果的な日本語学習法とは?
では、外国人整備士が効率的に日本語力を高め、国家資格合格を目指すにはどのような学習法が効果的なのでしょうか?以下に具体的な方法をご紹介します。
1. 専門用語に特化した教材の活用
JICAが提供する「自動車整備のための日本語 用語集」は、自動車整備の現場で使用される重要な語彙を効率的に学べる優れた教材です。
「自動車整備のための日本語 イラスト集」では、各パーツについての図解・イラストを使い、用語の説明をしています。視覚的にインプットができるので、専門用語の理解に効果的です。
- 「車の名前」「工具・検査装置」「よく使う動詞」など、分野ごとに分類されており、視覚的にも理解しやすい構成になっています。
- イラスト図解や動画付きの教材※を併用することで、視覚と聴覚の両面から理解を深めることができます。
たとえば、「トルクレンチ」や「トーションバー」といった専門用語は、意味を知らなければ試験で正解することはできません。用語集を活用して語彙を蓄積し、さらに実際の現場でその言葉がどのように使われているかを意識することで、実践的な理解が得られます。
2. 試験形式を意識した演習
日本語力を高めるうえで、試験に即した練習問題に取り組むことは非常に効果的です。選択式・記述式の問題に慣れることで、実際の試験で焦らずに対応する力が身につきます。
- 模擬試験や過去問題を使って、出題傾向や頻出語彙を把握しましょう。
- 特に記述式の対策として、自分の言葉で専門的な内容を説明する練習を繰り返すことが重要です。
例えば「ブレーキの構造と仕組みを簡単に説明してください」という問題に対し、「ブレーキペダルを踏むと、油圧がブレーキキャリパーに伝わり、ディスクを押さえて車を止めます」といったように、技術的内容を分かりやすく説明する練習が必要です。
さらに効果的なのは、自分が書いた記述回答を日本語の先生に添削してもらい、フィードバックを受けることです。自分の弱点が明確になるだけでなく、自然な日本語表現を習得する近道にもなります。
3. ベースとなる日本語基礎力の習得
自動車整備士として働く外国人にとって、仕事と並行して日本語を学ぶのは容易ではありません。そこでおすすめなのが、オンラインで受講できるカスタマイズ型の日本語研修です。
- 自分のスケジュールに合わせて、時間と場所を選ばず学習できる柔軟性があります。
- 講師と1対1もしくは、1対複数人のレッスンで、日本語基礎力を身につけながら、自動車整備で使う用語に特化した指導が受けられます。
オンライン日本語スクールの活用で資格取得のサポートを
弊社が提供する日本語オンラインスクールは、日本語力の向上を目的としたスクールです。しかし、現場で活躍し、自動車整備士国家資格の合格を目指す場合には、個別教材などを取り入れたレッスンが有効であると考えています。特に、専門用語の習得や記述問題対策、模擬試験形式の練習など、国家試験に直結するカリキュラムなど、外国人向けに最適化できるカスタマイズできる部分は、対応しながら日本語レッスンを提供したいと考えています。
いかがでしたでしょうか。当記事では日本で働く外国人整備士のための国家資格合格に向けた日本語学習法について紹介していきました。もし導入にご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひ気軽にご相談をいただけますと幸いです。