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急増する中国人ITエンジニア向けの効果的なビジネス日本語研修とは
2025年5月27日 公開
中国経済の減速を背景に、将来のキャリア形成に不安を抱えた若手ITエンジニアが、日本での就職を積極的に目指す動きが加速しています。特に都市部で高学歴かつスキルの高い人材を中心に、日本語を学び、日本企業への就職を志望するケースが増加傾向にあります。※
一方、日本国内では深刻なIT人材不足が続いており、経済産業省の試算によれば2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。企業のDX推進やシステム刷新、セキュリティ強化などの取り組みが進む中で、開発現場における即戦力人材の確保が喫緊の課題となっています。
このような状況において、中国人ITエンジニアの採用は、質・量ともに人材リソースを補う手段としてとても有効です。日本と地理的・経済的に近く、技術力・学習意欲ともに高い中国人エンジニアは、今後ますます重要な戦力になると考えられます。
技術力だけでは不十分――現場で求められる「実践的日本語力」
採用の際に技術力とともに見られるのが日本語能力です。しかし、JLPT(日本語能力試験)でN2・N1レベルを取得していたとしても、実際の仕事の現場で活躍するには"使える日本語"が求められます。
たとえば以下のようなケースが想定されます:
- 上司への業務報告の際、遠回しな表現を理解できず指示意図を読み違える
- チームミーティングでタイミングをつかめず発言できない
- メールでの敬語表現や結び文が不自然で、失礼にあたってしまう
これらの課題は、日本語を単に学問として学ぶだけでは克服できません。日本独特の職場文化やマナーを理解し、それに即した言語運用能力を身につけることが不可欠です。
また、日本人社員の中にも外国人との仕事に慣れていないケースがあり、双方の文化・価値観の違いが相互理解を難しくしている場面もあります。結果、中国と日本における言語や文化、ビジネス慣習の違いから、仕事の現場でのコミュニケーションに課題を抱えてしまい、短期間で離職をするケースも少なくないようです。
そうしたすれ違いを防ぐためにも、外国人社員側から日本の職場文化に歩み寄る努力が重要であり、そのためのサポート体制が必要です。
サポート面の注意点|促音や撥音などに配慮
中国人エンジニアの日本語レベルに応じて、ゆっくり話す、難しい言い回しを避けるなどの配慮が必要です。
例えば、日本語の促音(っ)、撥音(ん)、長音(ー)は中国人が苦手な発音です。これらの発音に共通する特徴は、音の長さです。
促音や撥音は母音が無いのに、他の音と同じように「一拍」の長さを持っています。長音は二倍の長さに伸ばさなければなりません。
こういう発音は中国語には無いので、中国人は一拍の「溜め」ができずに、短く発音してしまいがちなのです。
弊社が運営するビジネス日本語に特化したスクールである「日本語オンラインスクール」でも、中国人、ベトナム人(ともにN2取得・ITエンジニア/SE、PG)の生徒も多いですが、フレームワーク、バージョンアップ、アプリケーション、遅延、障害、実施、検証、ツールなど、現場でよく登場する単語の発音に苦手意識を持つ方が多い印象です。
これらは母語の影響があり中国・ベトナム人共通の問題として小さい「ツ」が抜けること、長音が短い「ツールではなくツルと発音」、カタカナに苦手意識があることなどが要因として考えられます。
フレームワークやバージョンアップといった英語由来の語彙の聞き取りができない場合や、外国人社員側の発音が日本人社員が思う発音と違う場合は、意味を理解するまで時間もかかりますし会話がスムーズに進まないとストレスもたまりやすくなります。
会社側のサポートとしても、ミーティングや仕様書内でも頻繁に出てくる単語は、web上の関連記事や、実際のサンプルの仕様書など、使いながら練習のサポートをしてあげたりなど効果的です。
採用後に浮き彫りになる「文化の壁」とその対処法
中国と日本では、仕事に対する基本的な価値観や日常的な業務の進め方に多くの違いがあります。これらの違いは、採用時には見えにくい一方で、入社後に大きな摩擦や誤解を生む要因となります。
具体的には以下のようなギャップが挙げられます:
- 上司への報告・相談が遅れ、トラブル発見が遅延する
- 納期遵守に対する意識の違いから、進捗管理が難航する
- 会議中の発言スタイルに差があり、沈黙や空気読みができず浮いてしまう
これらは一つひとつは小さな問題に見えますが、蓄積されると現場のストレスやパフォーマンス低下につながりかねません。
したがって、採用前後のオンボーディング期間において、日本語力と合わせてビジネスマナー・職場文化のトレーニングを行うことが、早期戦力化と定着に直結します。
オンライン日本語研修で、即戦力化を加速
当社が提供する「中国人ITエンジニア向けオンライン日本語研修」は、現場で即役立つ実践的な内容に重点を置いています。
日本語研修の特長は以下のとおりです:
- 報連相の徹底練習:状況報告、トラブル共有、進捗相談の実践
- 敬語・謙譲語の使い分け演習:社内・顧客対応それぞれに対応
- ロールプレイ形式の会議参加訓練:適切なタイミングでの発言や相槌の打ち方
- Eメールやチャットでの文面作成訓練:社内外のやりとりを想定
さらに、受講者のIT業務や職位に応じてカリキュラムを柔軟にカスタマイズが可能ですので現場で使える日本語トレーニングを重点的に鍛えることも可能です。受講日も柔軟に調整が可能ですので現場の業務を妨げることなくスムーズに導入いただけます。
上記は一例になります。弊社ではIT業務に特化した日本語学習カリキュラムを多数ご用意させていただいております。詳細は当サイトのカリキュラム概要:しごとの日本語 IT業務編をご確認ください。
目標とする日本語力
外国人エンジニアを採用する際、日本語能力の目標設定は企業にとって重要なポイント。
一般的に、日本語能力の評価には日本語能力試験(JLPT)やBJTビジネス日本語能力テストが利用されますが、これらの試験は主に「会話以外」の能力を測るため、N1やN2の資格を持つ外国人でも実際の会話がスムーズに行えないケースは多くあります。
また、N2を取得してから時間が経過している場合、実際の会話レベルはN2よりも低いN3レベルに相当することが多く、日本人社員のサポートがなければ、客先でのコミュニケーションが難しい場合もあります。
このような背景から、弊社が運営する日本語オンラインスクールでは「会話力」に焦点を当てた独自の「10段階の会話レベル」を設定し、会話力を客観的に評価しています。
大手SIer企業では、採用時の日本語会話レベルとしてレベル8以上を求めることが多い一方で、中小のSIer企業ではレベル5~7を目安とすることが多く、実際に採用してからコミュニケーションの課題が生じることがあります。
重要なのは、該当社員が現在どの会話レベルにあり、どのレベルを目指すべきかについて、社内や現場の上司と共通の認識を持つこと。
目標設定は企業によって異なりますが、多くの場合、最終目標として会話レベル7、8(JLPT N2レベル相当)を設定するケースが多いです。
参考までに、弊社が運営する日本語オンラインスクールでレッスンを行っている生徒さんの会話レベルが実際にわかる動画をここに掲載しておきます。
この動画が「どのレベルの日本語レベルを目標とするか」を決定する際の目安になれば幸いです。
以下は実際の日本語トレーニング実例の動画になります。
会話レベル7
国籍:中国 研究員
会話レベル8
国籍:中国 ITシステム開発 技術者
【導入事例】多くのIT企業で実績あり
当スクールの日本語オンライン研修は、大小さまざまなIT企業に導入いただいており、継続的に成果を上げています。以下は事例になります。
事例1:六元素情報システム株式会社様
外国人SEの語学・文化理解支援のため、社内向けにオンライン研修を導入。受講者の語学力向上だけでなく、研修を通じて社内全体の国際理解が進み、外国人社員との連携がスムーズになった。企業側からは「今後も継続的に支援をお願いしたい」とのお声。
事例2:株式会社チャイナワン様
実際に業務で使う場面を想定したカスタマイズレッスンをベースにアウトプット中心のレッスンを中心におこない、日本語力がメキメキと向上するに至りました。 ビジネス日本語力が向上することで、従来の業務に加えて対応ができる仕事の幅も広がり、ビジネス日本語研修の効果を得ることができました。
採用から定着・活躍まで―語学教育の伴走パートナーとして
外国人エンジニアを採用する企業が増える一方で、入社後のミスマッチや離職に悩むケースも増えています。その多くが"言語と文化のギャップ"に起因しています。
当社のオンライン日本語研修は、実績ある講師陣がマンツーマンで、語学教育にとどまらず、外国人社員の職場適応・文化理解を支援させていただき、定着率の向上だけでなく、現場でイキイキと活躍ができるよう全力でサポートをさせていただきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。当記事では日本で働く中国人社員向けの日本語ビジネス研修の基礎について紹介していきました。弊社では中国人向けのビジネス日本語研修の事例が多数ございますので、もし導入にご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひ気軽にご相談をいただけますと幸いです。